① 手取りとは?年収から何が引かれているの?
「年収」と「手取り」は別物です。年収とは会社が払ってくれる総額のことで、そこから次の3つが引かれて、実際に口座に振り込まれる「手取り」になります。
- 社会保険料(健康保険・厚生年金・雇用保険・子ども・子育て支援金など):年収の約15%前後
- 所得税:収入が多いほど税率が高くなる(5〜45%)
- 住民税:前年の所得に対して一律10%
ここで大事なのは、引かれているお金がすべて「税金」ではないことです。健康保険や厚生年金などの社会保険料は、病気・けが・老後・失業などに備えるための仕組みです。令和8年度からは、医療保険料とあわせて子ども・子育て支援金も徴収されます。税金は国や自治体のサービスに使われます。どちらも生活を支える制度ですが、給与明細ではまとめて引かれるため、手取りが大きく減ったように感じやすいのです。
会社員の場合、所得税は毎月の給与から概算で差し引かれ、年末調整で精算されます。住民税は前年の所得をもとに翌年6月ごろから引かれます。そのため、転職や昇給の翌年に住民税が増えて「手取りが減った」と感じることもあります。手取りを正しく見るには、今月だけでなく、前年の収入や控除もあわせて考える必要があります。
でも節税を使えば、この差を合法的に縮めることができるのじゃ🦉
自分の手取りを正確に知りたい場合は、はかるんツールの計算ツールで確認してみましょう。
② 給与明細で見るべきポイント
手取りを増やしたいなら、まず給与明細のどこを見るかを知ることが大切です。給与明細には、支給、控除、差引支給額の3つのかたまりがあります。支給は会社から支払われるお金、控除はそこから引かれるお金、差引支給額は実際に振り込まれるお金です。
「控除」とは、ここでは給与から差し引かれる金額のことです。税金の話で出てくる「所得控除」とは少し意味が違います。所得控除とは、税金を計算する前に所得から差し引ける金額のことです。言葉が似ていてややこしいですが、給与明細では「給与から引かれるもの」、税金計算では「税金を安くするために差し引けるもの」と考えると理解しやすいです。
| 見る場所 | 内容 | 確認したいこと |
|---|---|---|
| 支給 | 基本給・残業代・各種手当 | 残業代や手当が正しく反映されているか |
| 社会保険料 | 健康保険・厚生年金・雇用保険 | 大きく増減していないか |
| 税金 | 所得税・住民税 | 年末調整や住民税の変化を確認 |
| 差引支給額 | 実際に振り込まれる金額 | 家計管理で使う手取り額 |
手取りを見直すときは、差引支給額だけを見て終わりにしないことが大切です。残業代が増えた月、賞与が出た月、住民税が切り替わる6月、社会保険料の標準報酬月額が変わる時期などは、控除額も変わりやすくなります。毎月の手取りが少し変わるのは自然なことですが、理由がわからないままだと家計計画を立てにくくなります。
たとえば昇給して額面が月1万円増えても、そのまま1万円すべてが手取りに増えるわけではありません。社会保険料や税金も少し増えるため、実際の手取り増は額面より小さくなります。これを知っておくと、「昇給したのに思ったほど増えない」と落ち込みにくくなります。
③ 年収別の手取り早見グラフ
年収ごとの手取り額(概算)を棒グラフで比較しました。青が手取り、赤がひかれる金額です。
だからこそ、次に紹介する節税方法が効いてくるんじゃぞ💡
年収が上がるほど「手取り率」は少し下がりやすい
年収別グラフを見ると、年収が増えるほど手取り額そのものは増えます。ただし、年収に対して手元に残る割合は少しずつ下がりやすくなります。これは、所得税が所得に応じて税率の上がる仕組みだからです。所得税は、収入が多い人ほど負担割合が上がりやすい制度です。
一方で、節税制度の効果も年収によって感じ方が変わります。iDeCoのように所得控除になる制度は、所得税率が高い人ほど節税額が大きくなりやすいです。ふるさと納税も、年収や家族構成によって寄付できる上限額が変わります。つまり、節税は「みんな同じ金額だけ得をする」ものではなく、自分の年収・家族構成・生活状況で変わるものです。
だからこそ、記事を読んで終わりにせず、計算ツールで自分の条件を入れてみることが大切です。年収500万円の例がわかりやすくても、扶養家族がいる人、住宅ローン控除がある人、副業収入がある人では、税金や使える制度が変わります。
④ 節税①:iDeCo(イデコ)で老後資金を作りながら節税
iDeCoとは?
iDeCo(個人型確定拠出年金)とは、毎月一定額を積み立てて老後に受け取る年金制度です。普通の貯金と大きく違うのは、掛け金が全額「所得控除」になる点です。
「所得控除」とは、税金を計算するときに収入から差し引いてもらえる仕組みです。控除が増えるほど税金が安くなります。
所得控除に!
iDeCoで実際にいくら節税できる?
- 年収500万円・毎月2万3,000円積み立てた場合
- 年間の節税額:約5万5,000〜6万9,000円
- 30年積み立てると節税総額は165万〜207万円にも!
iDeCoは60歳まで引き出せないのがデメリットですが、老後資金を作りながら節税できる「一石二鳥」の制度です。
iDeCoで注意したいのは、節税効果だけを見て掛け金を大きくしすぎないことです。iDeCoは原則として60歳まで引き出せません。老後資金を作るには強い制度ですが、近い将来に使う予定のお金を入れる場所ではありません。生活防衛資金、つまり病気・転職・急な出費に備える貯金が少ない人は、先に現金を確保する方が安心です。
また、iDeCoには口座管理の手数料がかかります。運用する商品によっては元本割れする可能性もあります。節税額だけを見ると魅力的ですが、目的は「老後資金を作ること」です。毎月の掛け金は、家計を圧迫しない範囲で決めましょう。
- 口座管理手数料が業界最低水準
- 投資信託のラインナップが豊富
- スマホアプリで簡単管理
⑤ 節税②:NISA(ニーサ)で投資の利益を非課税に
NISAとは?
普通、株や投資信託で利益が出ると約20%の税金がかかります。NISAは、その税金がゼロになるお得な制度です。2024年から「新NISA」になり、年間360万円まで、生涯1,800万円まで非課税で投資できるようになりました。
NISAは、iDeCoと違っていつでも売却して現金化しやすい点が特徴です。もちろん投資なので価格が下がることはありますが、教育費、住宅資金、老後資金など、長期で準備したいお金に使いやすい制度です。投資で得た利益にかかる税金が非課税になるため、長く運用するほど効果を感じやすくなります。
ただし、NISAは「税金が安くなる制度」というより、「投資の利益に税金がかからない制度」です。投資で利益が出なければ非課税の効果も出ません。短期で増やす目的ではなく、長期・分散・積立を基本に、無理のない金額で続けることが大切です。
NISAとiDeCoを比較してみよう
老後まで使わないお金はiDeCo、途中で使う可能性があるお金はNISAが向いています。迷ったら、まず生活防衛資金を作り、その次にNISA、老後資金を強めたい段階でiDeCoを検討すると整理しやすいです。
- 国内株・投資信託の売買手数料が無料
- 100円から積み立て投資が可能
- NISA口座は無料で開設できる
⑥ 節税③:ふるさと納税で返礼品ももらいながら節税
ふるさと納税とは?
好きな自治体に寄付をすると、寄付額から2,000円を引いた金額が翌年の税金から差し引かれる制度です。さらに寄付先の自治体からお肉・お米・魚介類などの返礼品がもらえます。実質2,000円の自己負担で豪華な返礼品がもらえるとして大人気です。
ふるさと納税は「税金が減る」というより、翌年払う予定の税金の一部を先に寄付として支払い、そのお礼として返礼品を受け取る制度です。自己負担2,000円で返礼品を受け取れる点が魅力ですが、控除上限額を超えて寄付すると、超えた分は自己負担になります。
そのため、最初に必ず上限額を確認しましょう。年収、配偶者の有無、扶養家族、住宅ローン控除、医療費控除などによって上限額は変わります。特に年末に駆け込みで寄付する場合は、上限額を多めに見積もりすぎないことが大切です。
「ワンストップ特例制度」を使えば、確定申告も不要で簡単に申請できるぞ🎎
- 全国の返礼品をまとめて検索できる
- ワンストップ特例制度でかんたん手続き
- ポイントが貯まるサイトもある
⑦ 節税④:生命保険料控除で払った保険料が節税に
生命保険料控除とは?
生命保険・医療保険・個人年金保険などに加入して保険料を払っている場合、その保険料の一部が所得から差し引かれる(控除される)制度です。年末調整や確定申告で申請するだけで、すでに払っている保険料が節税に使えます。
どのくらい節税できる?
生命保険・介護医療保険・個人年金保険の3種類それぞれに上限があり、合計で最大12万円の所得控除を受けられます。年収500万円の人なら年間約2万円前後の節税効果です。
ここで注意したいのは、生命保険料控除を目的に不要な保険へ入らないことです。控除によって税金は少し安くなりますが、保険料そのものは支出です。月5,000円の保険に入れば年間6万円の支出になります。節税額だけを見て加入すると、家計全体では負担が増えることがあります。
生命保険は、万が一のときに家族や自分の生活を守るためのものです。独身で扶養家族がいない人、十分な貯金がある人、会社の保障が手厚い人は、大きな死亡保障が不要なこともあります。一方、子どもがいる家庭や住宅ローンがある家庭では、必要保障額を確認する価値があります。節税より先に、保障が今の暮らしに合っているかを見直しましょう。
すでに保険に入っている人は、年末調整の「保険料控除申告書」に記入するだけでOK。申請しないと損なので必ず忘れずに!
- 複数社の生命保険資料をまとめて請求できる
- 保障内容や保険料を自宅で比較できる
- 見直し前の情報収集に使いやすい
⑧ どれから始める?節税の優先順位
節税制度はたくさんありますが、全部を一度に始める必要はありません。むしろ、家計の土台が整っていない状態で投資や保険を増やすと、毎月の支払いが重くなって続かないことがあります。まずは、手続きが簡単で、家計への負担が小さいものから始めるのがおすすめです。
最初に確認したいのは、年末調整で使える控除を漏らしていないかです。生命保険料控除、地震保険料控除、扶養控除、配偶者控除など、すでに条件を満たしているのに申請していないものがあれば、それはもったいない状態です。新しく何かを契約する前に、今ある制度を使えているか確認しましょう。
| 優先度 | やること | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | 給与明細と源泉徴収票を確認 | 現状の手取りと控除を把握するため |
| 2 | 年末調整の控除漏れをなくす | 条件を満たしている控除を使うだけでよい |
| 3 | ふるさと納税の上限額を確認 | 比較的始めやすく、返礼品で家計にも効きやすい |
| 4 | NISAを少額で始める | 将来資金を作りながら利益非課税を活かせる |
| 5 | iDeCoを検討する | 老後資金目的なら節税効果が大きい |
この順番は、すべての人に絶対当てはまるものではありません。すでに貯金が十分ある人はiDeCoを早めに検討してもよいですし、近いうちに住宅購入や出産など大きな支出がある人は、NISAやiDeCoより現金を優先した方が安心です。節税は、制度単体のお得さではなく、自分の生活予定とセットで考えましょう。
⑨ 年収別の使い分け例
ここからは、年収別にどの制度をどう考えるかを見ていきます。実際の税金は家族構成や住んでいる地域、社会保険、控除の有無で変わりますが、考え方の目安として参考にしてください。
年収300万円台:まずは固定費と控除漏れを確認
年収300万円台では、節税で大きな金額を狙うより、家計の安定を優先した方が効果を感じやすいことがあります。ふるさと納税の上限額は高年収の人ほど大きくないため、まずは上限額を確認し、無理のない範囲で使いましょう。NISAを始める場合も、毎月1,000円や3,000円など少額からで十分です。
iDeCoは節税効果がありますが、60歳まで引き出せない点が重く感じることもあります。生活防衛資金が少ない場合は、先に貯金を作る方が安心です。節税よりも、スマホ代、保険料、電気代、食費などの固定費見直しの方が、手取り感を改善しやすい場合もあります。
年収500万円前後:ふるさと納税とNISAを軸にする
年収500万円前後になると、ふるさと納税の上限額もある程度大きくなり、返礼品による家計への効果を感じやすくなります。まずは上限額を計算し、普段買っているお米、肉、魚、日用品などを返礼品で選ぶと、節約につながりやすいです。
NISAは、将来の資産形成を始める入り口として使いやすい制度です。毎月1万円、2万円、3万円など、家計に無理のない金額から積み立てると続けやすくなります。iDeCoは、老後資金をしっかり作りたい人や、所得控除の効果を活かしたい人が検討するとよいでしょう。
年収700万円以上:控除と将来設計をセットで見る
年収700万円以上になると、所得税の負担も大きくなりやすいため、iDeCoの所得控除による節税効果を感じやすくなります。ふるさと納税の上限額も大きくなりやすいので、毎年の寄付計画を立てる価値があります。
一方で、教育費、住宅ローン、保険、投資など、支出の選択肢も増えやすい年収帯です。節税制度を使うだけでなく、将来いつ・何に・いくら使うかを整理することが大切です。NISAは流動性があり、iDeCoは老後資金に強い制度です。使う時期に合わせて置き場所を分けると、家計全体が見えやすくなります。
⑩ 節税で失敗しない注意点
節税は家計に役立つ一方で、制度の特徴を理解せずに始めると後悔することがあります。特に注意したいのは、「節税になるから」という理由だけで支出を増やしてしまうことです。税金が少し安くなっても、それ以上に保険料や手数料、投資損失が増えれば、家計全体ではマイナスになることがあります。
- 節税額だけで判断しない:支出や手数料も含めて考える
- 使う時期を考える:iDeCoは原則60歳まで引き出せない
- 上限額を確認する:ふるさと納税は上限を超えると自己負担が増える
- 投資リスクを理解する:NISAでも元本割れの可能性はある
- 申請を忘れない:控除は手続きしないと反映されないものがある
また、副業収入がある人、医療費が多い人、住宅ローン控除を受けている人、扶養家族がいる人は、税金の計算が少し複雑になります。迷った場合は、税務署、自治体、勤務先の担当部署、税理士などに確認しましょう。この記事は一般的な考え方を整理したものなので、個別の判断が必要な場合は専門家に相談するのが安心です。
よくある質問
参考にした公的情報
制度は変更されることがあるため、最新の細かな条件は公的情報も確認しましょう。
⑪ まとめ:手取りは「仕組みを知る」と増やしやすい
今回紹介した4つの節税方法は、どれか1つだけでも効果がありますが、組み合わせることでさらに大きな節税効果が得られます。
年収500万円の人でも年間10万円以上の節税が狙えるのじゃ!
難しく考えずに、まず1つから始めてみるのじゃぞ🦉
- 手取りは年収の約75〜80%。税金と社会保険料で約20〜25%が引かれている
- iDeCo:掛け金が全額控除。老後資金を作りながら節税できる一石二鳥の制度
- NISA:投資の利益が非課税。いつでも引き出せて柔軟に使える
- ふるさと納税:実質2,000円で返礼品がもらえる、最もわかりやすい節税
- 生命保険料控除:すでに保険に入っている人は年末調整で忘れずに申請
まずは自分の手取り額を計算ツールで確認して、どの節税から始めるか考えてみましょう!