① 住民税とは?所得税との違い
住民税とは、自分が住んでいる都道府県と市区町村に納める地方税です。都道府県に納める部分を「道府県民税」、市区町村に納める部分を「市町村民税」といいますが、まとめて「住民税」と呼ばれています。
住民税は、1月1日現在に住んでいる場所(住民票の住所)に対して課税されます。そのため、年の途中で引っ越した場合でも、その年の住民税は1月1日時点の住所の自治体に納めることになります。
所得税との大きな違いは「いつの所得に対して課税されるか」という点です。所得税はその年の所得に対して当年中に課税されます。一方、住民税は前年の所得をもとに翌年に課税されます。つまり、住民税は所得税より1年遅れる仕組みです。
| 比較項目 | 所得税 | 住民税 |
|---|---|---|
| 納める先 | 国(国税) | 都道府県・市区町村(地方税) |
| 課税対象年 | その年の所得 | 前年の所得(1年遅れ) |
| 税率 | 5〜45%の累進課税 | 一律10%(均等割別) |
| 天引き開始 | 働き始めた月から | 働き始めた翌年6月から |
| 計算方法 | その年の年末調整・確定申告 | 前年分の確定申告・年末調整をもとに計算 |
所得税は、年収が高いほど税率が上がる「累進課税(るいしんかぜい)」という仕組みです。累進課税とは、所得が増えるほど高い税率が適用される計算方式のことです。一方、住民税の所得割は原則として所得に関係なく一律10%(都道府県民税4%+市町村民税6%)です。
だから社会人1年目は住民税がなくて、2年目になると急に天引きされて「給料が減った!」と感じる人が多いのじゃ💙
② 住民税の計算方法(均等割+所得割)
住民税は「均等割(きんとうわり)」と「所得割(しょとくわり)」の2つを合計した金額です。それぞれの仕組みを理解しておくと、自分の住民税額がなぜその金額になるかが見えてきます。
均等割(きんとうわり)とは
均等割とは、所得に関係なく一定額を全員が負担する部分です。都道府県民税が1,500円、市町村民税が3,500円で、合計5,000円が基本です(2024年度以降の標準額)。所得が少なくても、一定の基準を超えると均等割がかかります。逆に、所得が非常に少ない人(扶養されている人など)は住民税が非課税になることがあります。
なお、2024年度から2028年度の間は、東日本大震災の復興のための「森林環境税」1,000円が均等割に上乗せされていたものが、2024年度から「森林環境税(国税)」1,000円に切り替わっています。地域によっては超過課税として均等割が少し高いこともあります。
所得割(しょとくわり)とは
所得割とは、前年の所得に応じて計算される部分です。計算式は以下のとおりです。
所得割 =(前年の所得 − 所得控除の合計)× 10%
住民税 = 所得割 − 税額控除 + 均等割
たとえば、前年の所得が400万円で、各種控除の合計が200万円だった場合、課税対象の所得は200万円になります。この200万円に10%をかけると20万円が所得割です。均等割5,000円を足した20万5,000円が年間の住民税になります。月に換算すると約17,000円が毎月の給与から天引きされる計算です。
| 年収(目安) | 課税所得(目安) | 所得割(目安) | 年間住民税(目安) | 月額(目安) |
|---|---|---|---|---|
| 300万円 | 約120万円 | 約12万円 | 約12.5万円 | 約10,400円 |
| 400万円 | 約190万円 | 約19万円 | 約19.5万円 | 約16,200円 |
| 500万円 | 約270万円 | 約27万円 | 約27.5万円 | 約22,900円 |
| 600万円 | 約350万円 | 約35万円 | 約35.5万円 | 約29,600円 |
| 700万円 | 約440万円 | 約44万円 | 約44.5万円 | 約37,100円 |
③ 住民税の控除(基礎控除・配偶者控除など)
住民税の所得割を計算するとき、所得から差し引ける「控除(こうじょ)」があります。控除とは、税金を計算するときに差し引ける金額のことです。控除が多いほど課税対象の所得が減り、住民税が安くなります。
住民税の控除は所得税の控除と似ていますが、金額が異なる場合があります。主な控除を確認しましょう。
| 控除の種類 | 住民税での控除額(目安) | 概要 |
|---|---|---|
| 基礎控除 | 43万円 | 誰でも受けられる基本の控除 |
| 配偶者控除 | 33万円(配偶者の所得による) | 配偶者の収入が少ない場合に受けられる |
| 配偶者特別控除 | 最大33万円(段階的に減少) | 配偶者の収入が一定範囲内の場合 |
| 扶養控除 | 33〜45万円(扶養の種類による) | 子どもや親など扶養する家族がいる場合 |
| 社会保険料控除 | 実際に払った金額全額 | 健康保険・厚生年金などの保険料 |
| 生命保険料控除 | 最大7万円 | 生命保険・医療保険などの保険料 |
| 医療費控除 | 実際の超過額(上限200万円) | 年間医療費が10万円を超えた分 |
| iDeCo(小規模企業共済等掛金控除) | 掛金全額 | iDeCoの積立金額が全額控除 |
| 寄付金控除(ふるさと納税) | 寄付額−2,000円(上限あり) | ふるさと納税などの寄付 |
これらの控除は、年末調整または確定申告で申請します。会社員の場合は年末に「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」などを提出することで、自動的に処理されます。医療費控除やiDeCoの掛金などは自分で確定申告する必要があります。
④ なぜ6月に住民税が変わるのか
「毎年6月になると給与明細の住民税額が変わる」という経験をした人は多いと思います。この理由は、住民税の仕組みと行政の処理スケジュールにあります。
住民税は、前年1月〜12月の所得をもとに計算されます。この計算が完了して会社に通知が届くのが5月末〜6月初めです。そのため、6月から新しい住民税額での天引きが始まります。
つまり、6月の給与から引かれる住民税は「前の年(昨年1月〜12月)の収入」に対してかかるものです。たとえば昇給や副業収入があった場合、その影響が住民税に出るのは翌年の6月になります。
副業で収入が増えた場合も、翌年6月に影響が出るから心の準備をしておくのじゃぞ📅
社会人1年目は住民税がない理由
社会人1年目(新入社員)は、通常、住民税の天引きがありません。これは「前年の所得をもとに課税する」という住民税の仕組みのためです。学生だった前年は所得がほぼなかったため、課税されません。2年目の6月から本格的な住民税の天引きが始まり、「給料が少なくなった」と感じる人が多いです。
2年目の6月に天引きが始まるとき、突然月に1〜2万円以上が引かれることもあります。この「住民税ショック」に備えて、1年目のうちから少し余裕を持って貯蓄しておくのがおすすめです。
⑤ 住民税を減らす節税方法
住民税は、所得控除を増やすことで課税対象の所得を減らし、結果的に税額を下げることができます。所得税の節税と似ていますが、住民税にも効果がある方法を中心に紹介します。
ふるさと納税
ふるさと納税は、住民税を直接減らす効果がある節税方法です。寄付額から2,000円を引いた金額が住民税(と所得税)から控除されます。会社員がワンストップ特例制度を使った場合は、主に翌年の住民税から控除されます。たとえば年収500万円で6万円のふるさと納税をすると、実質2,000円の自己負担で5万8,000円分が住民税などから差し引かれます。さらに豊富な返礼品を受け取れるため、家計の節約にもなります。
iDeCo(個人型確定拠出年金)
iDeCoの掛金は全額が所得控除になります。これにより課税所得が下がり、住民税と所得税の両方が安くなります。iDeCoは老後の資産形成のための制度で、60歳まで引き出せませんが、節税効果が非常に高いです。会社員の場合、月額12,000〜23,000円(勤務先により上限が異なる)を積み立てられます。年収500万円で月2万円積み立てた場合、年間の住民税が約2万4,000円安くなる計算です。
医療費控除
年間の医療費(家族全員分を合算可)が10万円を超えた場合、超えた部分が所得から差し引かれます。病院の診察費・薬代・通院交通費などが対象です。医療費控除は確定申告が必要ですが、会社員でも申告できます。10万円を超えた医療費の10%が住民税から減額されるイメージです(住民税率10%のため)。
生命保険料控除
生命保険・医療保険・個人年金保険の保険料を支払っている場合、一定額が所得から差し引かれます。住民税では最大7万円の控除が受けられます。保険に加入している場合は、毎年10〜11月に届く「生命保険料控除証明書」を年末調整で提出しましょう。
住宅ローン控除(税額控除)
住宅ローン控除は、税額控除(控除後の税額から直接引く)のため、所得税で引ききれない場合、残りが住民税からも控除される仕組みです。ただし住民税からの控除には上限(課税所得額×5%、または最大97,500円)があります。
- ふるさと納税:住民税から直接控除。返礼品も受け取れる
- iDeCo:掛金全額が所得控除。住民税・所得税の両方が安くなる
- 医療費控除:年間10万円超の医療費は確定申告で節税
- 生命保険料控除:年末調整で申告。最大7万円の住民税控除
- 住宅ローン控除:所得税から引ききれない分が住民税からも控除
⑥ 転職・退職した年の住民税の注意点
転職や退職をした年は、住民税の納め方が変わることがあります。あらかじめ知っておかないと、思わぬタイミングで大きな金額の納付書が届いてびっくりすることになります。
転職した場合
転職先の会社でも給与から住民税が天引きされます(特別徴収の継続)。ただし、転職のタイミングによっては一時的に給与から天引きできない期間が生じ、その間の住民税を自分で納付書を使って納める「普通徴収」になることがあります。新しい会社に前の会社の住民税の引継ぎ手続きをしてもらうことで、手間を減らせます。
退職した場合(再就職なし)
退職すると給与からの天引きができなくなるため、普通徴収に切り替わります。退職月によっては、残りの住民税をまとめて最後の給与や退職金から一括で引かれることがあります(1〜5月に退職した場合など)。その後は自宅に納付書が届き、自分で年4回(6月・8月・10月・翌年1月)に分けて納付します。
収入が大幅に下がった場合
転職や育休などで収入が大幅に減った年でも、当年の住民税は「前年の所得」に基づいて計算されるため、すぐには安くなりません。収入が下がった影響が住民税に反映されるのは、翌年の6月からです。育休中や退職後の家計プランを立てるときは、この「1年遅れ」を念頭に置くことが大切です。
収入が減っても前年の分は払い続けなきゃいけない。退職前に残り金額を確認しておくのが賢明じゃぞ💙
⑦ よくある質問(Q&A)
⑧ まとめ
住民税は「前年の所得に対して翌年6月から課税される」という1年遅れの仕組みが特徴です。この仕組みを理解すると、なぜ6月に変わるのか、なぜ社会人1年目は引かれないのかがすっきりわかります。
- 住民税は前年の所得に対して翌年に課税される地方税(1年遅れ)
- 均等割(一律約5,000円)+所得割(一律10%)の2つで構成される
- 6月に変わるのは、前年分の計算結果が会社に通知されるタイミングのため
- 退職・転職時は普通徴収への切り替えや一括徴収に注意
- ふるさと納税・iDeCo・医療費控除で住民税を効果的に減らせる
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