① ボーナスの手取りと額面の違い
ボーナスの「額面」とは、会社から支給される総額のことです。たとえば「夏のボーナスが50万円」と言われたとき、その50万円が額面です。しかし、実際に銀行口座に振り込まれる金額(手取り)は、これより少なくなります。
なぜ少なくなるかというと、ボーナスからも社会保険料と所得税が差し引かれるからです。月給と同じように、会社がまとめて天引きして国や自治体に納めています。
ただし、ボーナスと月給では引かれる項目や計算方法に違いがあります。特に大きな違いは「住民税はボーナスから引かれない」という点です。住民税は毎月の給与から均等に天引きされており、ボーナスには課税されない仕組みになっています。これがボーナスの手取り率が比較的高い理由のひとつです。
ボーナスの手取り=額面 − 社会保険料(健康保険・厚生年金・雇用保険・子ども子育て支援金)− 所得税
住民税はボーナスからは引かれません。これが月給との大きな違いです。
一般的に、ボーナスの手取りは額面の80〜85%程度になることが多いです。たとえば額面50万円のボーナスなら、手取りは40〜42万円程度が目安です。ただし、前月の給与額や加入している健康保険組合によって税率が変わるため、個人差があります。
| 項目 | 月給 | ボーナス |
|---|---|---|
| 所得税 | 毎月差し引かれる | 差し引かれる(計算方法が異なる) |
| 住民税 | 毎月差し引かれる | 差し引かれない |
| 健康保険料 | 毎月差し引かれる | 差し引かれる |
| 厚生年金保険料 | 毎月差し引かれる | 差し引かれる |
| 雇用保険料 | 毎月差し引かれる | 差し引かれる |
月給と比べると手取り率が高めになるのはそのためじゃぞ🎁
② ボーナスから引かれるもの(税金・社会保険料)
ボーナスから差し引かれるのは、大きく分けて「社会保険料」と「所得税」の2種類です。それぞれの内容を確認しましょう。
社会保険料の種類
ボーナスから差し引かれる社会保険料には、以下の4種類があります。
| 種類 | 概要 | 負担割合 |
|---|---|---|
| 健康保険料 | 病院にかかるときの保険。会社と折半 | 標準賞与額 × 約5〜6%(組合による) |
| 厚生年金保険料 | 老後の年金のための積み立て。会社と折半 | 標準賞与額 × 9.15% |
| 雇用保険料 | 失業したときの生活を支える保険 | ボーナス額 × 0.6%(一般の事業) |
| 子ども子育て支援金 | 2026年度から徴収開始の新しい拠出金 | 標準賞与額 × ごく少額(約0.036%程度) |
これらの社会保険料は、会社が従業員の代わりにまとめて納付するため、給与やボーナスから天引きされます。健康保険料の料率は加入している健康保険組合によって異なるため、勤務先の給与明細や人事担当者に確認するのが確実です。
所得税
ボーナスにかかる所得税は、前月の給与をもとに計算します。月給と同じく源泉徴収(げんせんちょうしゅう)といって、会社が代わりに国に納める仕組みです。源泉徴収とは、給与やボーナスを支払う会社が、あらかじめ税金を差し引いて支払うことをいいます。
ボーナスの所得税は「前月の給与が高いほど税率が高くなる」という特徴があります。これは、国税庁が定める「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表」に基づいています。
③ 所得税の計算方法(前月給与と税率表)
ボーナスの所得税計算は、月給の計算とは異なります。月給は「給与額 × 税率表の金額」で計算しますが、ボーナスは「前月の給与(社会保険料控除後)をもとに税率を決める」という特殊な方法を使います。
ボーナスの所得税計算手順
たとえば、前月の給与(社会保険料控除後)が30万円で、ボーナスが50万円の場合を考えてみましょう。国税庁の表で「前月給与30万円・扶養なし」に対応する税率を調べると約6.126%です。次にボーナス50万円から社会保険料(仮に7万円)を引いた43万円に税率6.126%をかけると、所得税は約26,341円になります。
| 前月給与(社保控除後) | 扶養なし | 扶養1人 | 扶養2人 |
|---|---|---|---|
| 〜75,000円未満 | 0% | 0% | 0% |
| 75,000〜85,000円未満 | 0.21% | 0% | 0% |
| 135,000〜150,000円未満 | 2.042% | 0% | 0% |
| 200,000〜250,000円未満 | 4.084% | 2.042% | 0% |
| 250,000〜300,000円未満 | 6.126% | 4.084% | 2.042% |
| 300,000〜350,000円未満 | 8.168% | 6.126% | 4.084% |
| 350,000〜400,000円未満 | 10.21% | 8.168% | 6.126% |
| 500,000〜600,000円未満 | 20.42% | 18.378% | 16.336% |
この計算方法の特徴は、前月の給与が高いほどボーナスの税率も高くなるという点です。昇給した直後のボーナスでは、前月給与が高くなることで税率が上がり、思ったより手取りが少なくなることがあります。また、前月が産休・育休などで無給だった場合は、代わりに前々月の給与で計算することがあります。
昇給した月の翌月にボーナスが来ると、税率が上がって手取りが減ることがあるから注意が必要じゃぞ📊
④ 社会保険料の計算方法
ボーナスにかかる社会保険料は、「標準賞与額」をもとに計算します。標準賞与額とは、ボーナスの額面から1,000円未満を切り捨てた金額のことです。たとえばボーナスが504,800円なら、標準賞与額は504,000円になります。
健康保険料の計算
健康保険料は、標準賞与額に健康保険料率をかけて計算します。健康保険料率は加入している保険によって異なり、全国健康保険協会(協会けんぽ)の場合は都道府県によって違います。東京都は2024年時点で約10%で、本人負担はその半分の約5%です。
なお、健康保険の標準賞与額には年間573万円の上限があります。年間のボーナスが573万円を超える場合、超えた部分には健康保険料がかかりません。
厚生年金保険料の計算
厚生年金保険料は、標準賞与額に18.3%をかけ、その半分(9.15%)を本人が負担します。厚生年金の標準賞与額には1回あたり150万円の上限があります。ボーナスが200万円でも、150万円を超えた部分には厚生年金保険料がかかりません。
雇用保険料の計算
雇用保険料は、ボーナスの額面(税込の総支給額)に料率をかけて計算します。一般の事業の場合、本人負担は1,000分の6(0.6%)です。100万円のボーナスなら雇用保険料は6,000円です。上限額の設定はありません。
子ども子育て支援金
2026年度から徴収が始まる新しい拠出金です。標準賞与額に料率をかけて計算しますが、当面は非常に低い料率(約0.036%程度)から開始されます。100万円のボーナスでも数百円程度の負担です。今後段階的に引き上げられる予定です。
| 保険の種類 | 本人負担率(目安) | 上限 |
|---|---|---|
| 健康保険料 | 標準賞与額 × 約5〜6% | 年間573万円 |
| 厚生年金保険料 | 標準賞与額 × 9.15% | 1回150万円 |
| 雇用保険料 | 総支給額 × 0.6% | 上限なし |
| 子ども子育て支援金 | 標準賞与額 × 約0.036% | — |
⑤ 年収・ボーナス別 手取りの目安表
実際にボーナスの手取りがどのくらいになるか、年収とボーナス額の組み合わせで目安を示します。あくまで概算ですが、参考にしてください。計算条件は「会社員・独身・扶養なし・東京都在住・協会けんぽ加入」です。
| 年収目安 | ボーナス額面 | 社会保険料(概算) | 所得税(概算) | 手取り(概算) | 手取り率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 300万円 | 30万円 | 約4.5万円 | 約1.0万円 | 約24.5万円 | 約82% |
| 400万円 | 50万円 | 約7.5万円 | 約2.0万円 | 約40.5万円 | 約81% |
| 500万円 | 80万円 | 約12.0万円 | 約4.5万円 | 約63.5万円 | 約79% |
| 600万円 | 100万円 | 約15.0万円 | 約7.0万円 | 約78.0万円 | 約78% |
| 700万円 | 120万円 | 約18.0万円 | 約11.0万円 | 約91.0万円 | 約76% |
| 800万円 | 150万円 | 約21.0万円 | 約18.0万円 | 約111.0万円 | 約74% |
表を見るとわかるように、年収が高くなるほど手取り率が下がる傾向があります。これは所得税率が高くなるためです。年収800万円になると、ボーナスの手取り率は74%程度まで下がります。一方、年収300万円台では手取り率が82%程度と比較的高いです。
ボーナスの手取りの目安は額面の75〜83%程度です。年収が高いほど所得税率が上がるため、手取り率は下がります。正確な金額を知りたい場合は計算ツールをご活用ください。
⑥ 手取りを増やす節税ポイント
ボーナスの手取り額は、適切な節税対策を行うことで増やせる可能性があります。ただし、ボーナスそのものの計算(源泉徴収)を変えることはできないため、年末調整や確定申告を通じて一年単位でお金を取り戻すイメージです。
iDeCo(個人型確定拠出年金)
iDeCoとは、老後のために自分で積み立てる年金制度です。iDeCoの掛金は全額が「小規模企業共済等掛金控除」として所得から差し引かれるため、所得税と住民税が安くなります。たとえば年間27万6,000円(月2万3,000円)をiDeCoに積み立てると、年収500万円の人では所得税と住民税の合計で約5〜6万円の節税効果があります。ボーナスの手取り自体は変わりませんが、年末調整や確定申告を通じて税金が戻ります。
生命保険料控除
生命保険・医療保険・介護保険・個人年金保険の保険料を支払っている場合、一定額が所得から差し引かれます(生命保険料控除)。控除の上限はそれぞれ最大4万円(所得税)で、合計最大12万円の控除が受けられます。毎月の保険料を払うだけで自動的に控除が適用されるため、すでに保険に加入している人は年末調整で確認しましょう。
ふるさと納税
ふるさと納税を活用することで、住民税や所得税の一部が控除されます。ボーナスそのものの税額は変わりませんが、年間の税金負担が減ることで実質的な手取りが増える効果があります。年収500万円なら約6万円分のふるさと納税ができ、実質2,000円の負担で豊富な返礼品を受け取れます。
住宅ローン控除
住宅ローンを組んでマイホームを購入した場合、一定期間にわたって住宅ローン控除が受けられます。この控除は所得税から直接差し引かれるため、年末調整や確定申告で税金が戻ります。控除額が大きい場合は、所得税から引ききれない分が住民税からも控除されます。
医療費控除
年間の医療費が10万円を超えた場合(または所得の5%を超えた場合)、超えた部分が所得から差し引かれます。歯の治療費や入院費、通院交通費なども対象になります。医療費控除は年末調整では申請できず、確定申告が必要です。
ボーナスの手取りを一発で増やすのは難しくても、年間トータルでしっかり節税できるぞ💡
- iDeCo:掛金全額が所得控除。年間最大5〜6万円の節税効果(年収500万円の場合)
- 生命保険料控除:保険料を払うだけで自動適用。最大12万円控除
- ふるさと納税:実質2,000円で返礼品。住民税・所得税が下がる
- 住宅ローン控除:ローン残高の最大0.7%が所得税から直接控除
- 医療費控除:年間10万円超の医療費は確定申告で取り戻せる
⑦ よくある質問(Q&A)
⑧ まとめ
ボーナスは額面から社会保険料と所得税が差し引かれて手取りになります。住民税はボーナスから引かれないため、月給よりも手取り率が高めです。
- ボーナスの手取り=額面 − 社会保険料 − 所得税(住民税は引かれない)
- 手取りの目安は額面の80〜85%程度(年収が高いほど下がる)
- 所得税は前月の給与をもとに税率が決まる仕組み
- 社会保険料は標準賞与額に料率をかけて計算(上限あり)
- iDeCo・ふるさと納税・生命保険料控除で年間の手取りを増やせる
自分のボーナスの手取りを正確に計算したい方は、計算ツールを使ってみましょう!