① 社会保険料とは?4種類の内訳
社会保険料とは、病気・老後・失業など万一のときの備えとして、国が運営する制度に毎月払うお金のことです。会社員の場合、毎月の給与から自動的に差し引かれ、会社も同じように負担(会社折半)するのが特徴です。
給与明細を見ると「健康保険料」「厚生年金保険料」「雇用保険料」などの項目が並んでいます。これらをまとめて社会保険料と呼び、一般的に会社員は次の4種類(または5種類)を支払っています。
| 種類 | 目的 | 負担割合 | 40歳未満の場合 |
|---|---|---|---|
| 健康保険料 | 医療費の補助 | 労使折半(約半分ずつ) | あり |
| 厚生年金保険料 | 老後の年金 | 労使折半(9.15%ずつ) | あり |
| 雇用保険料 | 失業給付など | 労使で負担(会社が多め) | あり |
| 介護保険料 | 介護サービスの費用 | 労使折半 | なし(40歳から) |
これらに加えて、2026年度から子ども・子育て支援金が新たに健康保険料に上乗せされる形で徴収が始まります。金額は比較的少額ですが、新しく加わる負担として覚えておきましょう。
会社員の社会保険料は、本人が払う分と同じ額を会社も負担しています。つまり、あなたの給与から引かれている金額の約2倍を会社も払っているということです。自営業やフリーランスにはこの会社負担がないため、国民健康保険などで全額自己負担になります。
② 健康保険料の計算方法
健康保険料は、標準報酬月額 × 保険料率で計算されます。保険料率は加入している健康保険の種類(協会けんぽ・健保組合)や都道府県によって異なります。協会けんぽ(中小企業の多くが加入)の場合、2025年度の東京都の保険料率は9.98%です(労使折半なので、本人負担は約4.99%)。
「標準報酬月額」とは、実際の給与をそのまま使うのではなく、決められた50の等級に当てはめた金額のことです。4〜6月の給与の平均額をもとに毎年9月に見直されます。残業代や通勤手当・住宅手当なども含めた「額面給与全体」が計算の対象です。
| 標準報酬月額の例 | 健康保険料(本人負担) | うち介護保険料(40歳〜) |
|---|---|---|
| 20万円 | 約9,980円 | 約1,700円 |
| 25万円 | 約12,475円 | 約2,125円 |
| 30万円 | 約14,970円 | 約2,550円 |
| 40万円 | 約19,960円 | 約3,400円 |
※ 協会けんぽ・東京都・2025年度の概算です。健保組合加入の場合は異なります。
この時期に残業が多いと、1年間の保険料が上がってしまうから「4〜6月の残業は控える」という節約術もあるのじゃ。ただし、年金にも影響するので慎重にのじゃ🏥
40歳になると介護保険料が追加される
40歳の誕生日を迎えると、健康保険料に介護保険料が上乗せされます。介護保険は「介護が必要になったときのサービス費用を社会全体で支え合う」制度です。保険料率は都道府県や健保組合によって異なりますが、協会けんぽの場合は標準報酬月額に対して約1.60〜1.82%(本人負担はその半分)程度です。たとえば標準報酬月額30万円の場合、毎月の負担は2,000〜2,700円前後増えるイメージです。65歳になると、今度は住んでいる市区町村が年金から天引きまたは直接請求する形に切り替わります。
③ 厚生年金保険料の計算方法
厚生年金保険料は、標準報酬月額 × 18.3%で計算されます。この18.3%を本人と会社で半分ずつ負担するため、本人の負担は9.15%です。厚生年金は老後に受け取る年金(老齢厚生年金)の原資となるほか、障害を負ったときの障害厚生年金、死亡したときの遺族厚生年金にも使われます。
| 標準報酬月額 | 厚生年金保険料(本人負担) |
|---|---|
| 20万円 | 18,300円 |
| 25万円 | 22,875円 |
| 30万円 | 27,450円 |
| 40万円 | 36,600円 |
| 62万円(上限・第32級) | 56,730円 |
標準報酬月額には上限(第32級・62万円)があり、それ以上の高い給与でも保険料はこの上限額で頭打ちになります。また、ボーナスにも同じ料率で保険料がかかります(標準賞与額の上限:年度内150万円)。
④ 雇用保険料・子ども・子育て支援金
雇用保険料は、給与(賃金総額)× 0.6%が本人負担です(2024年度の一般の事業の場合)。雇用保険は、失業したときの失業給付(基本手当)や、育児休業給付・介護休業給付にも使われます。保険料率は事業の種類によって若干異なり、農林水産業・清酒製造業・建設業では少し高くなります。会社は本人負担より多くを負担しており、会社負担分は0.95%です。
たとえば月給30万円の場合、雇用保険料の本人負担は月1,800円(30万円 × 0.6%)です。健康保険料や厚生年金保険料と比べると金額は少ないですが、失業時の給付に備える大切な保険です。
2026年度より、子ども・子育て支援金が健康保険料に上乗せされる形で徴収されます。月額は標準報酬月額や加入している保険によって異なりますが、月数百円程度とされています。加入している健保組合や協会けんぽから案内が届きますので確認しましょう。
⑤ 年収別 社会保険料の目安
実際に自分の給与からどのくらいの社会保険料が引かれているか、年収別の目安を示します。以下は独身・40歳未満・協会けんぽ(東京都)加入の場合の概算です。
毎月に直すと約6万円。思ったより多くて驚く人も多いのじゃ。ツールで正確な金額を確認してみるのじゃ🏥
| 年収 | 健康保険料(年) | 厚生年金(年) | 雇用保険(年) | 合計(目安) |
|---|---|---|---|---|
| 300万円 | 約15万円 | 約27万円 | 約2万円 | 約44万円 |
| 400万円 | 約20万円 | 約37万円 | 約2.4万円 | 約59万円 |
| 500万円 | 約25万円 | 約46万円 | 約3万円 | 約74万円 |
| 600万円 | 約30万円 | 約55万円 | 約3.6万円 | 約89万円 |
| 800万円 | 約40万円 | 約68万円 | 約4.8万円 | 約113万円 |
⑥ 社会保険料を抑えるケース・ポイント
社会保険料は給与にほぼ自動的にかかるものですが、知っておくと役立つ場面もあります。ただし、社会保険料が下がると将来の年金受給額や保障内容にも影響するため、単純に「減らせばいい」とは言い切れません。以下のポイントを参考にしながら、自分の状況に合った判断をしましょう。
- 4〜6月の残業を控える:この時期の給与をもとに標準報酬月額が決まるため、残業が少ない月が続くと秋以降の保険料が下がる場合がある
- 産休・育休中は免除:産前産後休業・育児休業中は本人・会社ともに社会保険料が免除される(老後の年金計算への影響は最小限)
- 退職後は国民健康保険か任意継続:退職後2年間は、会社の健康保険を「任意継続」できる場合がある。国民健康保険と比較して安い方を選ぶのがポイント
- 給与体系の変更:月給制からフレックス・時短勤務への変更などで給与が大きく変わると、随時改定(月額変更届)が行われ保険料が変わる
なお、iDeCo(個人型確定拠出年金)への加入は所得税・住民税の節税につながりますが、社会保険料は変わりません。給与から引かれる社会保険料を減らす方法は限られているため、節税を考えるなら確定申告で使える各種控除(医療費控除・生命保険料控除など)を活用する方向も合わせて検討しましょう。
⑦ 国民健康保険との違い(フリーランス・自営業の場合)
フリーランス・自営業者・退職後の人は、会社の健康保険(社会保険)ではなく国民健康保険に加入します。厚生年金ではなく国民年金になります。この2つの大きな違いを理解しておくことは、転職やフリーランス独立を考えているときに特に重要です。
| 項目 | 会社員(社会保険) | フリーランス(国保+国民年金) |
|---|---|---|
| 健康保険の種類 | 健康保険(協会けんぽ・健保組合) | 国民健康保険(市区町村) |
| 保険料の負担 | 労使折半(半分は会社) | 全額自己負担 |
| 扶養の概念 | あり(扶養家族は保険料ゼロ) | なし(家族全員分かかる) |
| 年金の種類 | 厚生年金(国民年金の上乗せ) | 国民年金のみ |
| 年金の保険料 | 標準報酬月額 × 18.3%(折半) | 定額:月16,980円(2024年度) |
| 傷病手当・出産手当 | あり | なし(国民健康保険は不支給) |
会社員から独立・フリーランスになると、健康保険料の会社折半がなくなるため、単純計算で自己負担は2倍近くになりやすいです。また、扶養していた家族の保険料も別途かかるようになります。国民健康保険料は前年の所得をもとに計算されるため、独立直後の収入が増えた年に高い保険料を請求されるケースもあります。
「会社員をやめると手取りが増える」と思いがちだけど、社会保険料が2倍近くなることも多いから、独立前にしっかり計算しておくのが大事なのじゃ💡
⑧ よくある質問(Q&A)
参考にした公的情報
制度の細かな条件は変更されることがあるため、最新情報は公的情報も確認しましょう。
⑨ まとめ
社会保険料は複雑に見えますが、仕組みを理解すると給与明細の見方が変わり、手取り計算や将来の年金見通しも立てやすくなります。
- 社会保険料は健康保険・厚生年金・雇用保険(・介護保険)の4種類
- 健康保険料と厚生年金は標準報酬月額をもとに計算される(労使折半)
- 標準報酬月額は4〜6月の給与の平均をもとに毎年9月に見直される
- ボーナスにも社会保険料がかかる(上限あり)
- 産休・育休中は社会保険料が免除される
- 40歳から介護保険料が追加される
- フリーランス・自営業は国民健康保険+国民年金で全額自己負担になる
自分の給与から引かれる社会保険料の正確な金額を確認してみましょう!