1. 新NISAをかんたんにおさらい
NISA(ニーサ)とは、投資で得た利益に税金がかからなくなる制度のことです。ふつう、投資で増えたお金には約20%の税金がかかります。たとえば10万円の利益が出ると、約2万円が税金で引かれます。NISAの口座を使えば、この税金がかからず、増えた分をまるごと受け取れます。
2024年から始まった新NISAでは、一生のうちに投資できる金額の上限(非課税で持てる枠)が1,800万円まで広がり、制度を使える期間の制限もなくなりました。長くコツコツ積み立てたい人にとって、使いやすい制度になっています。
- 利益に税金がかからない(通常は約20%かかる)
- 非課税で持てる上限は1人あたり1,800万円
- いつまで使えるかの期限がない(長期向き)
2. 将来額を決める3つの数字
「将来いくらになるか」は、難しそうに見えて、実はたった3つの数字で決まります。
- 毎月の積立額……月1万円なのか、3万円なのか
- 運用する期間……10年なのか、20年、30年なのか
- 想定利回り……1年あたり何%で増えると考えるか
このうち、特に効いてくるのが「期間」です。理由は次の章で出てくる「複利(ふくり)」の仕組みにあります。複利とは、増えたお金を引き出さずにそのまま運用に回すことで、増えた分にもさらに利益がついていく増え方のことです。雪だるまが転がるほど大きくなるのと同じイメージで、期間が長いほど効果が大きくなります。
反対に、よく注意したいのが「想定利回り」です。利回りは未来を保証する数字ではなく、「だいたいこれくらいで増えると仮定したら」という前提にすぎません。あとの章で、ここを過信しないための見方も説明します。
3. 月1万・3万・5万円だと将来いくら?
まずは想定利回りを年5%、運用期間を20年でそろえて、毎月の積立額だけを変えて比べてみます。下の金額は、利回りが毎年5%で続いたと仮定した場合の目安です。
| 毎月の積立額 | 積み立てた元本(20年) | 20年後の目安 | 増えた分の目安 |
|---|---|---|---|
| 1万円 | 240万円 | 約411万円 | 約171万円 |
| 3万円 | 720万円 | 約1,233万円 | 約513万円 |
| 5万円 | 1,200万円 | 約2,055万円 | 約855万円 |
※想定利回り年5%・運用20年で試算した目安です。実際の結果を保証するものではありません。
「元本」とは、自分が積み立てた金額の合計のことです。月3万円を20年積み立てると元本は720万円ですが、運用がうまくいけば目安として約1,233万円、つまり元本より約513万円多くなる計算です。積立額が大きいほど将来額も大きくなりますが、ここで無理をして家計が苦しくなっては続きません。無理のない金額の決め方も参考に、続けられる範囲で選びましょう。
4. 期間の差が生む「複利の力」
次は、毎月3万円・想定利回り5%でそろえて、運用する期間だけを変えてみます。複利の力で、後半になるほど増え方が加速するのがポイントです。
| 運用期間 | 積み立てた元本 | 将来額の目安 | 増えた分の目安 |
|---|---|---|---|
| 10年 | 360万円 | 約466万円 | 約106万円 |
| 20年 | 720万円 | 約1,233万円 | 約513万円 |
| 30年 | 1,080万円 | 約2,497万円 | 約1,417万円 |
※毎月3万円・想定利回り年5%で試算した目安です。
注目したいのは「増えた分」です。10年では約106万円ですが、20年では約513万円、30年では約1,417万円と、期間が2倍・3倍になると増えた分はそれ以上のスピードで大きくなっています。これが複利の力です。早く始めて長く続けるほど有利になる、という言葉の意味がここにあります。
逆にいえば、複利の効果をしっかり受け取るには「時間」が必要です。短い期間だと、複利よりも「いくら積み立てたか(元本)」の影響が大きくなります。今すぐ大きく増やすための制度ではなく、じっくり育てるための制度だと考えておくと、相場が一時的に下がっても落ち着いて続けやすくなります。
5. 想定利回り別に比べてみる
最後に、毎月3万円・期間20年でそろえて、想定利回りだけを3%・5%・7%で変えてみます。利回りの数字を少し変えるだけで、将来額が大きく変わることがわかります。
| 想定利回り | 積み立てた元本 | 20年後の目安 |
|---|---|---|
| 年3% | 720万円 | 約985万円 |
| 年5% | 720万円 | 約1,233万円 |
| 年7% | 720万円 | 約1,563万円 |
※毎月3万円・運用20年で試算した目安です。
同じ積立額・同じ期間でも、利回りが3%か7%かで将来額は約985万円〜約1,563万円と、600万円近い差になります。「だったら7%で計算しよう」と思いたくなりますが、ここは注意が必要です。利回りは自分で選べる数字ではなく、相場しだいで決まるもの。高い数字で計算すると、期待だけがふくらんでしまいます。
世界中の株式に分散して投資した場合、長期の実績としては年3〜5%程度を一つの目安にする人が多いです。シミュレーションをするときは、控えめな数字(3〜5%)で計算しておくと、「思ったより増えなかった」というガッカリを防げます。
6. 非課税枠1,800万円との関係
新NISAでは、非課税で持てる上限が1人あたり1,800万円です。この枠の中に「つみたて投資枠」(年120万円まで)と「成長投資枠」(年240万円まで、上限のうち1,200万円まで)があります。難しく感じるかもしれませんが、毎月コツコツ積み立てる人は、まず「つみたて投資枠」を使えば十分なケースが多いです。
たとえば月3万円なら年36万円なので、つみたて投資枠(年120万円)の中に余裕で収まります。仮に月3万円を続けても、元本が1,800万円に届くのは50年後なので、枠を使い切る心配はほとんどいりません。枠の上限よりも、「無理なく続けられるか」を優先して考えましょう。
- つみたて投資枠……年120万円まで。毎月の積立に向く
- 成長投資枠……年240万円まで。まとまった額も入れられる
- 合計の上限……生涯で1,800万円まで(うち成長投資枠は1,200万円まで)
7. シミュレーションを過信しない
ここまで将来額の目安を見てきましたが、いちばん大切なのは「シミュレーションはあくまで仮定の計算」だと理解することです。表の金額は、想定した利回りが毎年きれいに続いた場合の数字です。実際の相場はこんなふうにまっすぐ増えるわけではありません。
- 毎年同じ利回りにはならない……上がる年もあれば、大きく下がる年もあります。
- 元本割れもあり得る……元本割れとは、投資した金額より評価額が下がることです。特に始めて数年は起こりやすいです。
- 途中でやめると複利が活きない……下落で不安になって売ってしまうと、その後の回復を取り逃すことがあります。
だからこそ、生活費や近い将来に使う予定のお金は投資に回さず、現金で確保しておくことが大事です。手元に当面の生活を支えるお金(生活防衛資金)があれば、相場が下がっても慌てて売らずに済みます。シミュレーションの数字は「未来の約束」ではなく「方向感をつかむ道具」として使いましょう。
8. 取り崩し(出口)の考え方
積み立てた後、お金を使うときのことも少しだけ触れておきます。NISAは途中で売って引き出すこともできますが、せっかく育てた複利を活かすなら、必要になったぶんだけ少しずつ取り崩していくのが基本です。
たとえば老後に使う場合、全額を一度に売るのではなく、毎年あるいは毎月、生活に必要な分だけ取り崩していけば、残りは引き続き運用を続けられます。使う時期が近づいたら、値動きの大きい資産の割合を少しずつ減らして安定させる、という考え方もあります。出口のイメージまで持っておくと、積立の途中でも安心して続けやすくなります。
よくある質問
計算ツールで自分の場合を確認しよう
この記事の表は「月3万円・5%・20年」など、決まった条件での目安です。実際には、あなたの積立額・期間・想定利回りで計算してみるのがいちばんです。数字を少し変えるだけで将来額が大きく動くので、いくつかのパターンを比べてみてください。
はかるんツールのNISA投資シミュレーションなら、毎月の積立額・運用期間・想定利回りを入れるだけで、将来額の目安をすぐに確認できます。
まとめ
- 将来額は「積立額・期間・想定利回り」の3つで決まる
- 特に「期間」が長いほど複利の力で増え方が加速する
- 月3万円・5%・20年なら目安は約1,233万円(元本720万円)
- 想定利回りは控えめ(3〜5%)に見積もるとガッカリしにくい
- シミュレーションは保証ではなく、方向感をつかむ道具
- 生活防衛資金を残し、続けられる金額で取り組む
2026年時点の新NISA制度の一般的な考え方を参考にしています。将来の運用成果を保証するものではなく、税制や制度の詳細は変更される場合があります。投資の判断はご自身の責任で行ってください。